「エーゲ海のプリンス」
冬木 るりか (著), レベッカ・ウインターズ(原作)
出版社 ハーレクイン
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あらすじ
スピーチセラピストである、ドロシー・リチャーズは、ゾーイという四歳の少女の検査のために、エーゲ海に浮かぶ島国を訪れます。
ゾーイはヘレニカ王国のアレクシウス王子の娘で、身体的には健康でしたが、他人とかかわることを嫌って、頻繁にカンシャクを頻繁に起こし、幼稚園にも通えなくなっていました。
また、ゾーイには言葉の遅れもあり、家族である王子と祖母としかコミュニケーションがとれない状態でした。
ドロシーは、ゾーイの日常の様子を聞いてすぐに、彼女が強い不安を抱えていることを見抜きます。そして、まず、耳鼻科での検査と、耳掃除を勧めます。
鼓膜にこびりついてた大量の耳あかを取り除いてから検査をしたところ、ゾーイの聴覚には問題がないことがわかります。耳掃除のあと、ゾーイは音がすっきり聞こえるようになったためか、表情が生き生きとしはじめたと、王子はドロシーに報告します。
その翌日から、ドロシーは、王家のお城でゾーイと過ごしながら、言語能力の検査を開始します。
キャッチボール。
なわとび。
絵カードを見せながらの、単語の発音。
それまで、ナニーや家庭教師を寄せ付けず、カンシャクばかりおこしていたゾーイを、ドロシーは一瞬で魅了し、遊びに引き込みます。
ドロシーは、ゾーイが苦手な子音をきれいに子発音できたご褒美に、かわいいお人形と、小さな家具を用意していました。
検査の結果、ドロシーは、ゾーイには知的な遅れはなく、発音の問題も必ず克服できるだろうと判断し、王子にそう伝えます。ゾーイの将来を心配していた王子は、心から喜びます。
検査の結果、ドロシーは、ゾーイには知的な遅れはなく、発音の問題も必ず克服できるだろうと判断し、王子にそう伝えます。ゾーイの将来を心配していた王子は、心から喜びます。
ドロシーにすっかりなついたゾーイが、彼女をママと呼び始めるのに、時間はかかりませんでした。
わが子への細やかな気遣いと愛情を目の当たりにしたアレクシウス王子も、ドロシーに惹かれていきます。
ゾーイの実の母はすでに病死していて、アレクシウス王子には、他国の姫との再婚話が持ち上がっていました。
ゾーイはそれが不満で、ドロシーにママになってほしいと願い、アレクシウス王子もドロシーに結婚を申し込むのですが、他国の王族との婚姻という踏み出す勇気を持てなかったドロシーは、断ってしまい……
そのあとのあらすじは省略しますが、ヘレニカ王国を揺るがす大騒動が持ち上がり、どさくさの中で王子とドロシーの結婚が決まり、ハッピーエンドとなります。
耳鼻科と言語療法
私の息子も言葉の遅れがあり、幼児期に言語療法士のお世話になっていたことがあるので、作品を読みながら、当時のことをいろいろ思い出しました。
ゾーイのように、耳鼻科で検査を受けさせたこともありました。
耳あかが大量に取れて、聴覚能力にも異常なしというところまで、ゾーイと同じでしたが、息子の場合は、知的な発達障害がとっても重かったため、ドロシーの行ったような方法では、言葉の遅れを挽回することはできませんでした。
けれども、たくさんのオモチャや、体を大きく動かすための遊具などのそろった、広いプレイルームで、難しい状態の息子相手に、あの手この手で注意を引きながら、遊んでくれた先生の姿が、輝いて見えたものでした。
なので、アレクシウス王子の気持ちは、ちょっとわかるように思います。
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