2019年10月22日火曜日

若林美樹「ちょっと美人ドクター?」(アナフィラキシーショック)


私事になるが、もうすぐ、重度の障害を持つ息子が、全身麻酔での歯科治療を受ける予定がある。


これまでに何度も受けている手術であるし、いままでは全く無事に終了している。
でも、何度受けても、心配なのは変わらない。


歯科治療であっても、全身麻酔で、呼吸もとめて、四時間ほどもかかるのである。


手術の事前検査では、麻酔医も来てくれて、家族とも面談する。


いろいろと緊張するけれども、スタッフとの信頼感を確かめる大切な機会でもある。



最近読んでいる漫画に、麻酔医と手術についてのエピソードがあったので、紹介したい。




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いまとても気に入っている、医療マンガである。


医師一家の末っ子である主人公、新條奈穂が、研修医として所属する病院で、指導医や看護師、患者たちに猛烈にしごかれ、医者魂を磨いていく物語。

その奈穂のキャラクターが、実に豪快で、まっすぐで、患者を救おうという熱い思いにあふれている。周囲の医師や看護師たちも、人間味があって、職業意識も高く、すばらしい。


こんな病院ばかりならいいのになあ、と思いながら読んでいる。



最終巻である七巻目に収録されている、第32話「麻酔科研修」では、歯科治療での麻酔でアナフィラキシーショックになった経験のある患者が登場する。


その患者、多田さんは、胃がんのため、胃の全摘手術を控えているのだけど、麻酔についての医師の説明を拒否。手術を受ける意志はあるものの、麻酔医に対しては、あからさまな不信感を見せる。

麻酔科で研修中の奈穂は、多田さんとなんとか心を通わせて、信頼を得ようと、病床に日参して、必死に食い下がるものの、全く話を聞いてもらえない。


けれども、手術直前になって、自分の大人げなさを恥ずかしく思った多田さんは、たまたま遭遇した奈穂に、歯科治療での経緯を語るのだけど、そのときの恐怖や怒りがフラッシュバックして、呼吸困難に陥ってしまう。


親知らずの抜糸のための麻酔を入れたとき、多田さんはすぐに体調が悪くなり、そのことを歯科医に伝えたのに、無視されていたのである。しかもその若い司会は、意識を失いつつある多田さんに、うろたえて声をかけるばかりで、救命のための措置をすぐには取れなかった。


そういう経緯や、自分の気持ちを、多田さんは、それまで誰にも話さず、自分のなかに封じ込めていたのだった。



フラッシュバックによる呼吸困難のために、胃の手術は延期となったものの、奈穂に心のうちを話したことで、多田さんは、気持ちがラクになり、医師を信頼して手術を迎えることができた。


そのときの、奈穂のセリフが、ほんとうに小気味よくて、ステキだった。



たとえオペ中、多田さんの
心臓が止まろーが
呼吸が止まろーが
大っっっ出血!!
ブチかまそーが!!
われわれは総力をあげて!
多田さんを助けるべく
手だてを尽くします!

まあちょっと、血の気が多すぎる感じではあるけれど……


外科のお医者さんって、私がこれまで出会った方々を思い出しても、なんだか大工の棟梁みたいなイメージの方が多かったので、きっと奈穂も、いい医師に育つだろうと思う。














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