辻占売: (1) (ぶんか社コミックス) Kindle版 マンガ
占い師の閑と、生まれつき目の見えない未信。
時空を超えて真実を見通す、未来予知の能力を持つ二人が、普段通りの街の中で起きている、ごくありきたりな人の不幸や、心の歪みにふれて、そこにほんの少し、光を当てていきます。
(2016/9/26の時点で、この書籍はKindle unlimitedに登録されています)
読み放題のリストで見かけて、読んでみた作品です。
一つ一つが読み切りの物語になっています。
少し悲しい、暗いお話が多いですが、不幸な境遇にある登場人物たちは、閑や未信に出会うことで、ゆがんだ場所から逃れ、光のあたる人生を手に入れることができます。
あ、でも、例外もあります。
ごみ処理場の環境汚染で死に絶えてしまった、とある生き物たちは、一瞬の命の輝きのあと、あの世へ旅立ち、汚染を隠蔽しようと目論んでいた市長は、怪死を遂げました。(´・ω・`)
■先天盲
生まれつき、もしくはごく幼いうちに視力を失って、視覚記憶を持たない状態のことを、先天盲というのだと、今回、この作品を読んで調べたことで、はじめて知りました。
作中の未信は、盲目であること自体ではなく、生まれつき持っていた未来予知という能力のために、親に無理心中を仕掛けられ(親だけ死亡)、周囲に気味悪がられるなどして、窮地に追いやられていきます。
未信の能力は、盲目であることを代償として得られたものかどうかは、一巻を読んだ限りでは分かりませんが、作中では、そのような印象を与える描写がされています。
重い障害を持つがゆえに、特別な力を得るということは、先天的な障害にまつわる伝承のなかで、繰り返し語られていて、その伝承の積みかさねによって、そうした考え方に説得力が生まれているように思えます。
このことはまた、古今東西の、障害を持つ子どもの親が、無意識に願うことであるかもしれません。
私も重度の障害児の親ですので、そのような思いは理解できるように思います。
そしてときどき、そうした子供たちは、奇跡かもしれないと思えるような「何か」を見せてくれることが、実際にあります。必ずしも超能力ではなくても、その子がそこにいることで、かけがえのない出来事に出会うということは、現実に、確かにあります。
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