2016年12月30日金曜日

ながさわ さとる , オリヴィア ・ゲイツ 「千一夜におぼれて」 (子宮内膜症)


ながさわ さとる , オリヴィア ・ゲイツ  
千一夜におぼれて ジュダールの王冠 (ハーレクインコミックス)
  Kindle版
 出版社: ハーレクイン       
               





仕事で知り合ったアラブのファルーク王子に期間限定の恋人になるよう求められヒロインのカルメンは、交際中に想定外の妊娠をしてしまい、王子に疎まれることを恐れ、別れてしまいます。


もともと重い子宮内膜症を患っていたカルメンにとって、子どもを授かったことは、奇跡のような喜ばしい出来事でした・。

けれども、アメリカ人女性であるカルメンにしてみれば、国籍も身分も違いすぎる王子に妊娠を打ち明けたところで、結婚はもちろん、子どもの扱いがどうなるかも分ったものではありません。

悩んだ挙げ句、カルメンは王子を捨てて、シングルマザーの道を選ぶことに。


ところがそこに、王子の政敵による陰謀が絡んできてしまいます。もともとカルメンにベタ惚れだったファルーク王子は、政敵の嘘にまんまと騙され、カルメンが金の亡者で敵のスパイだと信じ込んで、大激怒。


しかしこの王子、カルメンに心底惚れていたのなら、なんで期間限定の恋人になんかしたのか。そのあたりの事情は、原作小説を読めば明らかになるのかもしれませんが、漫画版ではよくわからないので、王子の大きな減点要素になっています。身勝手な上に単細胞とか、ろくでもありません,ね。(´・ω・`)




ファルーク王子を捨てたカルメンは、一人っきりで帝王切開を乗り越えて、娘のメナを出産しますが、産後に子宮内膜症が悪化してしまい、子宮を摘出しています。


つらい思いを克服して、働きながら育児をしていたカルメンのもとに、ややこしい王家の事情を背負い込んだファルーク王子が、カルメンの本心を誤解したまま激怒状態で乗り込んできて、自分の娘を一目みた途端、溺愛親バカオヤジに変貌し、カルメンとメナを脅して強引に自国に連れ去りそのまま結婚。


王家の事情というのは、次期国王として、男の世継ぎを作るべしという義務を課せられていることと、王位を狙う政敵が陰謀を用意して待っていたことですが、王子はそれらを一蹴し、皇太子の地位を捨て去り家庭を取ります。


王子は、一気に男前レベルをアップして、ハッピーエンド。



それにしても、このジャンルに出てくる、権力と財力と美を併せ持った「アラブの王子様」たちは、まるっきり夢の世界の存在かと思ったら、現実世界にモデルと思われる方々が存在していることを、最近知りました。


「アラブ 王子」などで画像検索してみると、恐ろしく顔立ちの整った王家の方々の写真がたくさんでてきて、驚きます。ドバイの王家とか、写真だけ見ていると、まるでハーレクインを映像化したかのようで、世界的にも大きな話題になっているとか。


異文化に所属する彼らとのロマンスを思い描くこと、架空の物語を次々と生み出して空想することが、アメリカの女性達の楽しみになっているのでしょうか。


次期アメリカ大統領のトランプさんは、イスラム教徒を嫌う発言をして、アラブ諸国の反発を受けたりしているのを見ると、なんだか日本の韓流・嫌韓みたいな構図があるように、見えないこともありません。





あ、でも、ハーレクイン社の本社って、アメリカじゃなくて、カナダにあるんだそうですね。ずっとアメリカのものだとばかり思っていました(いろいろ無知でした)。




■子宮内膜症



物語としては、爽やかな終わり方でしたけれども、カルメンの子宮内膜症の経過や予後がはっきり分からず、気になるところです。

まだ若いうちに、子宮、卵巣を全摘した場合、内膜症は完治となったとしても、その後のホルモンバランスの以上などで、つらい症状もあるのではないかと思うのです。

政争の多い異国の王家に嫁いで、夫は皇太子を降りたとはいえ、ストレスの多い生活であることは間違いないでしょう。夢物語のハーレクインで、そこまで心配する必要はないのでしょうけれども、病気を意識しながら作品を読んでいるので、どうしても気になりました。




      

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