2016年11月27日日曜日

城山三郎 「そうか、もう君はいないのか」   (肝臓がん)(脂肪肝)



新聞だったかネットニュースだったか忘れましたが、この手記が紹介されていたのを見て、すぐにDLして読んでみました。



城山三郎 「そうか、もう君はいないのか」 


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最愛の人を失った悲しみ、虚しさ、さみしさが、書名からにじみでていて、どうにも切なくなります。




学生のころ、たまたま道で出会ったその日に、たった一度だけのデートで相思相愛になったのに、彼女の親に反対されて、別れることに。

その後、紆余曲折を経て再会。

今度は双方の親の了解を得て、結婚。

ハネムーンでのういういしいカップルぶり。新婚生活のとんでもない苦労。新人賞獲得後は、地元のしがらみから離れて執筆に専念するために、茅ヶ崎に転居。そして・・・・・・

刺激の多い都会から離れ、家族とともに茅ヶ崎に深く根を張り、自分のペースで執筆を継続して、多くの作品を生み出しつづけた作者の生活は、もしかすると、修行僧のように苦しい面もあったのではないかと思います。

けれども、明るい気性の奥さんと一緒に、長い年月をじっくりと味わいながら、楽しみながら、乗り越えてきたのかのかもしれません。本書で、淡々と綴られていく、夫婦の歩みから、そんな感じを受けました。



それなのに・・・・・・。


最愛の妻、容子さんの亡くなり方は、かかりつけの医師との経緯を考えれば、とても納得して受け止められるものではなかっただろうと思います。







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 癌はいずれにせよ、早期発見が肝要にちがいない。

 偶々、茅ヶ崎の駅前ビルに、東京の有名病院の内科医が独立して開業したので、容子は血圧が高めでもあるし、早速、月二回の診察を受けることにした。


 ところが、この医師のいた大病院では趣味人というか、筆の立つことでも有名な医師が何人も輩出しており、この医師もまた風流人。それ故かどうか、名医という評判ながら、どこか患者を見下すようなところがあった。


 そして、ある日、処方箋にそれまでに比べて記載漏れかと思われる箇所があり、不要かどうか医師にたしかめてくれと、薬局で言われ、医院に引き返して、そのことを訊くと、とたんに医師は大声を張り上げ、


「医者に教える気か!」


 と、怒鳴りつけた。

 その後になって、この医師に検査を受けた折、

「あんたの肝臓はフォアグラだな、アハハ」


と笑われたが、ただそれだけで説明がなく、といって訊くなり、問い返すなりすることも、怒鳴られたことを思い出すと、こわくてできない。


 私がこのやり取りを知ったときは、もう後の祭りであった。

「フォアグラ」というのは、つまり、すでに肝硬変が進んでいたのではないか。
 その段階で、きちんと診察し、本人にも自覚させ、本格的な治療を受けていれば・・・・・・。

 何故もっとはっきり病状を伝えなかったか、何故悪い肝臓を放置したか、その医師にはいまも恨みが残る。容子は、定期的に検診を受けているので、まさか重い病気が進行しているなどとは思いもせず、同じ病院に通い続けた。


(引用終わり)

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とんでもないモラハラ医者がいたものです。


処方についての薬局からの問い合わせを、逆ギレで撃退するとか、あり得ない対応です。

まして、検査しておいて、患者の肝臓をフォアグラ呼ばわりして嘲笑した上、肝臓がんを見逃すとか・・・・・


心情的には、医師免許剥奪してほしいレベルです。


この医者さえ駅前に開業していなければ、亡くならずに済んだかもしれないのに。



読むうちに、私まで猛然と腹がたってしまい、思わず、googleマップで、茅ヶ崎駅前の内科を検索してしまいしまた。

もっとも、どこがその病院であるかは、分かりせんでしたけれども。


(´・ω・`)



■肝臓がん/脂肪肝



上の引用文中、茅ヶ崎の駅前ビルの藪医者が、

「あんたの肝臓は、フォアグラだな。アハハ」


と言っているのは、脂肪肝を指摘したものではないかと想像します。フォアグラって、ガチョウやアヒルにたくさんエサをやって、脂肪肝にしたものだそうですから。


エコーで肝臓を検査したときに、脂肪がたくさんついていると、白い影になって見えます。


私も何年か前に、エコー検査で脂肪肝を指摘されたことがあります。脂肪がたくさんついていると、エコーの機械の画面で、素人目にも分かるくらい、白い影になって見えます。



脂肪肝から、肝硬変や肝臓がんになることも少なくないのだそうですから、笑いごとではありません。


私の場合、血液検査でも、GOTやらGPTやらの数値がちょっと高かったため、生活習慣を整えるように、医師にきつく言われました。

それで恐れをなしてダイエットを決行し、GOTやらGPTやらは、安全な数値まで下がりました。


容子さんも、定期検査をしていたのだから、まともな医師が早めに意見していれば、末期がんになるまで気づかないなどということもなく、ご夫婦でもっと長生きされていたかもしれません。



威張る医者、まともに説明しない医者、わけもなく患者を嘲笑する医者は、ミスして逆ギレするような医者は、非常に危険ですので、取り返しのつかなくなる前に、病院を変えるべきです。










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