2016年10月5日水曜日
武田一義「さよならタマちゃん」 (精巣腫瘍)
さよならタマちゃん (イブニングコミックス) Kindle版
武田一義 (著)
漫画家になることを目指して、アシスタントをしていた主人公を襲った病気は、精巣のがんでした。
手術。
抗がん剤治療と、副作用。
夫婦の絆。
がんの闘病をする患者さんたちとの出会い。
仕事への思い。
がんとともにある個人の暮らしのことを、丁寧に、細やかに描かれた作品。
闘病ものの作品は、一度だけ読んで終わることが多いのですが、この作品は、なぜか時折、読み返したくなります。
入院治療のために、主人公が、アシスタントの職を辞すことを決意する場面があります。
すると雇い主の漫画家さんに伝えると、その漫画家さんが、職場の仲間をみんな引き連れて病室にやってきて、こう言うのです。
「迷惑かけたくない気持ちも分かりますけど、病気なんだから それはあきらめませんか」
これ、すごい言葉だと思います。
大切にしている仲間から、こういう言葉をおくられたら、どんな病状であれ、厳しい状況であれ、真剣に生きることに向き合うしかなくなりますし、そうする勇気もわくのではないかと思うのです。
なによりも、そういう仲間とつながってきていた、この主人公が、すごいなと思いました。
最近、世の中では、障害者や難病者を「迷惑な存在」として非難するような、声高な主張が増えてきているようです。
つい最近も、人工透析の患者さんたちをバッシングする発言をした元アナウンサーの人が、仕事を干されるに至り謝罪をする、といった騒ぎがあったばかりです。
(長谷川豊氏のブログの謝罪記事→ この度の騒動で嫌な思いをされた全ての方に心よりお詫び申し上げます。)
生身の人間なのだから、誰もがいつかは体を壊すことがありますし、それが大変な治療をしなくては命の助からないものである可能性も、常にあります。
予算が足りないといわれる、社会福祉のひずみを何とかするために、社会的負担の大きい病人や障害者を切り捨てようという発想ではなく、なんとかしてともに生きようとする発想で、物事を変えていくことはできないかなと、切実に思います。
切り捨てられることが約束されたような社会では、がんばることは難しいです。
けれども、そこがかけがえのない居場所であると思えるような社会であるなら、重い病気や障害のある人生にも、もっと違った風景が見えてくるのではないかと思います。
2016年10月1日土曜日
おおにし真・ミシェル ・リード 「忘れられた花嫁」 (記憶喪失)
忘れられた花嫁 (ハーレクインコミックス) Kindle版
おおにし 真 (著), ミシェル ・リード (著) Amazonで見る
その交通事故で、サンドロは婚約者に死なれ、自分だけ生き残ってしまったこと(婚約者のことは忘れなかった)。
キャシーから妊娠の電話連絡があった時点で、すでにサンドロは記憶を失っていましたが、ご丁寧に、その電話をもらった事実についても、再度きっちり記憶を消去していたこと。
とにかく、これてもかという勢いで、サンドロはキャシーのことだけを、忘却しまくっていたのでした。
妊娠中に捨てられたキャシーの心の傷を、もう一度えぐりなおして、塩を塗り込むような話で、ここからの復縁など、到底考えられそうにないのですが……そこはハーレクインですので、あれやこれやの事情をねじり倒して、元サヤにおさまります。
作中では、キャシーが愛想を尽かして去ろうとするたびに、記憶喪失と葛藤するサンドロがひどい頭痛に襲われます。放って帰れず、介護に奔走するキャシー。なんだかんだで、キャシーを引き留め、同意もなしに結婚を発表し、式の日取りまで勝手に決めてしまうサンドロ。
その結果、キャシーはサンドロから離れる機会を逃しつづけ、やがて、記憶もほとんど復活して、元の鞘に収まって結婚。
おおにし 真 (著), ミシェル ・リード (著) Amazonで見る
《あらすじ》
キャシーは、双子を育てるシングルマザーです。
情熱的な恋人だったサンドロは、子どもができたと知らせた途端、キャシーを捨てて音信不通に。
最愛の子どもたちを育てるために、女性蔑視の社長の会社で頑張って働いていましたが、その会社が買収されることになり、新しいオーナーとして就任した人物は、サンドロでした。
パーティで再会したサンドロは、他人行儀のままでしたが、キャシーと会話するうちに、発作のような頭痛に襲われて、倒れます。
成り行きで介抱することになってしまったキャシーは、サンドロから、衝撃の事実を聞かされることになります。
交通事故で三週間昏睡し、目ざめた時にはキャシーとの交際についての記憶だけ、、完全に喪失していたこと。
その交通事故で、サンドロは婚約者に死なれ、自分だけ生き残ってしまったこと(婚約者のことは忘れなかった)。
キャシーから妊娠の電話連絡があった時点で、すでにサンドロは記憶を失っていましたが、ご丁寧に、その電話をもらった事実についても、再度きっちり記憶を消去していたこと。
とにかく、これてもかという勢いで、サンドロはキャシーのことだけを、忘却しまくっていたのでした。
妊娠中に捨てられたキャシーの心の傷を、もう一度えぐりなおして、塩を塗り込むような話で、ここからの復縁など、到底考えられそうにないのですが……そこはハーレクインですので、あれやこれやの事情をねじり倒して、元サヤにおさまります。
記憶喪失には、交通事故などによる外傷性のもの、脳の病気による内因性のもの、そして鬱病などの心因性のものがあるそうです。
サンドロは、交通事故にあっていますが、婚約者とキャシーの事で強いストレスも罹っていますから、記憶喪失の原因が、外傷性のものであるのか、心因性のものであるのか、作中でははっきりしません。
作中では、キャシーが愛想を尽かして去ろうとするたびに、記憶喪失と葛藤するサンドロがひどい頭痛に襲われます。放って帰れず、介護に奔走するキャシー。なんだかんだで、キャシーを引き留め、同意もなしに結婚を発表し、式の日取りまで勝手に決めてしまうサンドロ。
その結果、キャシーはサンドロから離れる機会を逃しつづけ、やがて、記憶もほとんど復活して、元の鞘に収まって結婚。
いいのかそれで、と思いますが、まあ、いいんでしょうね。
ハーレクインですから。
(´・ω・`)
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